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まばたきのシャッター

恵文社に行ったら、去年出たHさんの写真集がどーんと平積みされていた。

Hさんは写真家で、写真家になる前からの古い友達だ。

何気なくパラパラとめくっていると、そこに写っているペンギンやクラゲなどの生き物たちの躍動感と視点にどきっとした。

そしてまばたきの、そのあいだを縫うように取られた一瞬にはっとした。

 

そして、その'まばたき'という言葉を昔聞いた事を思い出した。

昔から私は写真が苦手だった。細かく言えば自分が写る写真、集合写真が嫌いだった。写真に写る自分が好きでなかったし、笑いたくもないのに笑わないといけないような空気もいやだったのかもしれない。そしていつも目をつぶってしまう。

それをHさんは察知してくれたのか、Hさんのその時いた会社の写真イベントに私も参加して会う機会が増えたからか、Hさんは会うたびに「今日の〇〇(私の名前)さん」というタイトルで写真を撮ってくれた。

そして、まばたきが多くていやだという話をしたら、「まばたきが多いということはそれだけ心のシャッターを押しているんだよ」と言ってくれた。目からウロコだった。

 

それから、気づけば写真を撮られることにも慣れて、すとんと憑き物がとれたようにまばたきや自分の写る写真のトラウマから解放されたように思う。

 

そんなことが写真集をみていたら思い出されて、本屋さんの中で時が止まったかのようにはっとして、そして泣きそうになった。

 

Hさん、ありがとうございます。